「音弥から聞いたよ。アンタ、桐人と付き合ってるフリをしてるんでしょ？」

音弥くんのお喋り……！と思いつつも、音弥くんがどっちの味方かどうかなんて聞くまでもない。


「なんでそうなったか知らないけど本来アンタみたいな子は桐人の隣に並んじゃダメなんだからね！」

たしかに最近の私はそれが当たり前になっていたというか、夢乃くんに対して甘えや贅沢な部分が出てきたことは否定できない……。


「……彩芽ちゃんは夢乃くんとお付き合いしてたんですよね？」

それが本当は聞きたくて呼び止めた。


「そうよ。出逢ったころからずっと好きで、ようやくそれを桐人に受け入れてもらったの」

「………」

「お互いの家にも行ったし彼氏彼女らしいこともたくさんはした」


……彼氏彼女らしいこと。

どういうことなのか想像はしたくない。


「だから事情があって別れることになったけど、私は桐人の彼女になりたいし譲りたくない。桐人を好きな気持ちはだれにも負けないから」