さまよう爪

名残惜しそうな顔をされたのは気のせい。

彼は不意に、自然をじっとこちらに向ける。

形のいい、アーモンド型の目をしていた。

水気をたたえて、ふるふると震えている。

こんな顔を間近で見せられて、照れずにはいられなかった。さっと逸らした視線を、自分の膝へ移す。

「や、あの。すみません。何か調子こいちゃって申し訳ない。冗談です」

「え、そーなの? 今の? よくわからないけど」

彼からハハっと空笑いが聞こえたあと。

何故かお互い、無言になってしまった。

周りから色々な音が聞こえてくる。

それでも2人が沈黙を続けているのには変わりない。無性に居心地が悪くなってしまい、モヒートはもうなくなった氷だけのグラスを傾けたり揺すったりする。カラカラ。

何か話さなければと、自分の膝をポンと叩く。

「名前なに?」