「……大きな悲しみや苦しみも、時間で解決してくれないんだよねぇ」
意味深に聞こえて、べちゃべちゃティッシュからそっと目を覗かせる。テーブルの向かいから腕を伸ばしてわたしの頭を撫でていた彼は、もう片方の手で頬杖をついたまま、笑った。
「俺の元カノね、約束を忘れられるのは、たびたびで。時間に遅れてくるなんて、当たり前。
飲んでるから迎えに来いってメールがきて、それでも店先で待たされる。そんなの何とも思わなくて、泥酔状態で車に乗ったら即、夢の中。付き合ってるのは俺だけじゃなくて、何度か出て行くし。男が、凄い剣幕で怒鳴り込まれたこともある。いつでも本能のまま。気に入った男が出来ればフラリと出て行って、飽きたら何事も無かったように帰ってくる。部屋の扉が開かないなんて、チラリとも思っていない。いつでも鍵はすんなりと開き、暖かい寝床と食べ物が用意されていると信じている傲慢な女だったの。そしてそれを拒めない馬鹿な男は俺だったワケですが。ある日いつもみたいに出て行って、いつものことだからそのうち帰ってくるだろうって思ってたらまさかの1年が経っちゃんだよ」
「それで……どうなったの?」
「さらに半年経って連絡きたよ、やっと。俺の部屋に置きっぱだった彼女のお気に入りの宇多田ヒカルの『ファースト・ラヴ』持ってロイホ来てって。で、素直に行ってみれば彼女の左手薬指には指輪がキラリ」
意味深に聞こえて、べちゃべちゃティッシュからそっと目を覗かせる。テーブルの向かいから腕を伸ばしてわたしの頭を撫でていた彼は、もう片方の手で頬杖をついたまま、笑った。
「俺の元カノね、約束を忘れられるのは、たびたびで。時間に遅れてくるなんて、当たり前。
飲んでるから迎えに来いってメールがきて、それでも店先で待たされる。そんなの何とも思わなくて、泥酔状態で車に乗ったら即、夢の中。付き合ってるのは俺だけじゃなくて、何度か出て行くし。男が、凄い剣幕で怒鳴り込まれたこともある。いつでも本能のまま。気に入った男が出来ればフラリと出て行って、飽きたら何事も無かったように帰ってくる。部屋の扉が開かないなんて、チラリとも思っていない。いつでも鍵はすんなりと開き、暖かい寝床と食べ物が用意されていると信じている傲慢な女だったの。そしてそれを拒めない馬鹿な男は俺だったワケですが。ある日いつもみたいに出て行って、いつものことだからそのうち帰ってくるだろうって思ってたらまさかの1年が経っちゃんだよ」
「それで……どうなったの?」
「さらに半年経って連絡きたよ、やっと。俺の部屋に置きっぱだった彼女のお気に入りの宇多田ヒカルの『ファースト・ラヴ』持ってロイホ来てって。で、素直に行ってみれば彼女の左手薬指には指輪がキラリ」

