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むしゃくしゃする。
酔った視界に、今朝の会社での出来事と、後輩の姿がちらつくわたしはモヒートのグラスを空にした。
『小野田さん、何日も休んで心配しましたぁ。大丈夫ですかぁ?』
そう言ってちょこんと袖を引っ張る彼女。ちょこんと袖を引っ張るなんて計算しないとできないつーの。
何杯目だっけ……
これ。
視界が、揺れた。ダンスフロアから鳴り響いてくるはずの大音量も、どこか遠い。
「ねぇねぇ、ひとり?」
またナンパ……
ちょっとうんざりした気分で、わたしはテーブルから体を起こした。
クラブにいる男ってのは、女と見れば声をかけなきゃなんないってルールでもあるんだろうか。
しかも男は、
「この辺にめっちゃ可愛い子がいるって聞いて探してたんだけど、絶対お姉さんのことだよね! やっと見つけた! 背ぇ高いね、菜々緒っぽい。菜々緒感出てるよ」
なんて、めちゃくちゃ大袈裟な褒めるものだからさすがに笑ってしまった。鼻で。
いるいる、こういう女を引っかけることに命かけてるみたいなの。
なまじっか、ちょっと顔が良かったりすると、女も馬鹿だから引っかかんの。
「ひとりじゃないよー」
「え? 嘘だあ。さっきから見てたけど、ずっとひとりで飲んでるじゃない」
軽そうな男。
人懐こいのと慣れ慣れしいのを、勘違いしてんじゃないの?
男は、わたしの隣の椅子を引くと、こっち向きに座ってテーブルに頬杖をついた。

