「ねぇ、チョコくん……私はまだチョコくんと友達になって少ししか経ってないけど、チョコくんのこと少しはわかってると思うの」


「……何、急に」


怪訝そうな顔になる彼に、私はにっこりと笑みを見せる。


「だってチョコくん。チョコなんか嫌いだって言いながら、お父さんにチョコ作りを教えてもらい始めてから楽しそうな顔になってるよ」


「え?」


「ふふ、気づいてなかった?」


相変わらず不機嫌そうな顔は変わらないけれど、確かに以前とは違った表情を彼は見せてくれていた。


「なんだかんだ言っててもやっぱりチョコくんは、お父さんも、お父さんの作るチョコも、大好きなんだよ」


「っ、」


「あははっ、顔が真っ赤だ」


「う、うるさい……っ」


「あはは!」


ねぇ、チョコくん。
あの日、君に初めて出会ったあの日。
私はどうしても、君の苦しそうな顔を放っておけなかったの。


エテルニテのチョコが食べたかったのはもちろんだけど、君に関わった1番の理由は、君なんだよ。
どうしようもなく、私は君に笑って欲しいと思った。


私がいつも笑ってるからなのかな?
その理由は自分でもよくわからないけれど、やっぱり私は君に、笑顔で毎日を過ごして欲しい。
自分に素直であってほしいんだ。


だからチョコくん、どうか君が、心から笑える日が来ますように────。