しばらくして。 ようやく新幹線が新大阪を出た。 時計を見た。 「…間に合わんかもな」 とだけ独り言ちて、本をしまって仮眠を取った。 (じたばたしても早く着く訳やあれへん) そういうみっともないことはしない、というところが貴慶にはあった。