月が変わった。 この時期あたりから貴慶の言動に、少し変化が見られた。 あの薄情を通り越し、ときには冷徹とも不遜ともとれる、あの突き放したような言い方を、ほとんどしなくなったのである。 真っ先に気づいたのは、美姫であった。 「貴慶さん、何かあった?」 何か感づいたらしい。 が、 「さぁ…桜の時期でも近いからちゃうか」 などと、相変わらずのらりくらりとはぐらかすのだが、その声調子にトゲはなかった。