四面楚歌-悲運の妃-




『皇后陛下お目にかかり光栄でございます。
この度、後宮軍・軍妃将軍を賜りました琴冥紗にございます。』


自室で荷物を置き、用意された衣装に身を包むと、皇后陛下へ挨拶に来た。



「面をおあげになって。」

優しそうな声で崔皇后様は言った。


ゆっくり顔をあげると、崔皇后様は優しく微笑んでいた。


「そなたが琴昭儀ですか。話は聞いています。
仮面の事も歴代軍妃将軍の中でも飛び抜けて強い事も…。
陛下が後宮にいらっしゃる時はどうかお護りくださいね。
私は身体が強くありません。
床に居る事も多いかと思いますが、仲良くいたしましょうね。」



『はい。皇帝陛下と皇后陛下の為に…』


私はもう一度床に伏して言った。


崔皇后様は椅子から立ちあがり私に近づき、手を差し伸べ仮面に触る。


「私より7つも下と聞いていたけれど、同じくらいに見えるわ。」


そう言ってニコっと笑った。


お優しそうな方だ。


妬みや憎悪が行き交う後宮。


この方が主なれば、安心だ。


私が笑顔返した時、室に声が響いた。



「皇帝陛下のおいででございます。」



え!?


皇帝陛下?