宦官の登場で、皆の緊張が増す。


宦官は私達を見回し、咳払いすると口を開いた。


「琴冥紗、後宮軍・軍妃将軍とし九嬪・昭儀(キュウヒン・ショウギ)とする。

汀悒雉、後宮軍・新たに設けた四天王とし九嬪・修儀(シュウギ)とする。

梁崙矣、後宮軍・四天王とし九嬪・修容(シュウヨウ)とする。

憧李燗、後宮軍・軍師補佐とし、九嬪・充容(ジョウヨウ)とする。

棕尹、後宮軍・騎馬とし二十七世婦・美人(ニジュウナナセイフ・ビジン)とする。

姶祁嗄、後宮軍・騎馬とし二十七世婦・才人(サイジン)とする。」


宦官はそう一気に読み上げると、一礼をして部屋を出ていった。


誰も声を出す事もなく、宦官が出ていった扉を見つめたまま呆然と立ち尽くしていた。


「…美人は正五品。…嬉しい。」


始めに喜びの声をあげたのは尹だった。


その声に続き皆、喜びの声をあげた。


軍妃将軍を無事賜る事が出来た。


私はそれだけで嬉しい。


私は皇帝陛下を護る事が使命。


正三品・昭儀を頂いても、私が妃としてお役にたてる事はこの仮面が有る限りないのだ。



そっと冷たい仮面に手を触れた。



昭儀など、私には勿体ない…


「昭儀を賜っても不満そうな顔ね、冥紗。」


李燗…。