范丞相は徴言國の丞相を知っている口ぶりだった。
丞相の地位を守る為に中立のいるのではないし、そんな事をまわりに思わせないような人なのだろうか?
「どのみちだ。皇太子にしろ綜公子にしろ誰にしろ、どちらが帝位についたとしても、あの丞相が中立の立場にいる事は、何かあるのだ。故に宮歌國にとって、脅威になる…。その時は近づいている。」
宮歌國は中央に位置するとはいえ、聖人が8人揃う唯一の國。
それ故、他國は安易に侵攻することはないといっても、5年前に角呼國は攻め入ってきた。
それも、都近くまでだ。
角呼國がそこまで攻め入れたことを、徴言國が出来ぬとも限らない。
徴言國に限らず、商哭國も羽伸國もそして、再び角呼國も…
宮歌國に侵攻しなくとも、他四國は幾度となく小競合いを繰り返し、時には大きな戦をしてきた。
「陛下が即位して以来、四國の事を気にしなかったわけではない。むしろ気にかけ過ぎていた。呂貴妃のことに対しても、そなたの知る様にしてきた。しかし四國の情勢が思わしくない今、内で争っている場合ではない。紅吏帝の崩御で改めて気付いたのだ。」
范丞相は己のしてきた事を戒めるように言った。
この方も丞相といえど、完璧ではないのだ。
陛下が舞妃ノ宮に訪れ軍妃達と会う事の意味が、呂貴妃との争いに決着をつけるだけではない事に、私も気付かされた。
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