北ある徴言國は、五國の中でも1番の領土を誇る國だ。
紅吏帝は若く皇帝となり、若い頃は領土拡大のため、隣接する宮歌國・角呼國・商哭國と戦を幾度となくした。
しかし晩年は、その広大な領土を守る事だけに徹した皇帝で、在位中のこの46年間は宮歌國にとってはさほどの脅威ではなかった。
その紅吏帝の崩御したとなりと、徴言國は新皇帝が即位するという事だ。
『徴言國の新皇帝は宮歌國を…』
攻める気でいるのか?そう続けることが出来なかった。
皇太子はどのような方なのか?
聞きたい事が多く、言葉にならない。
范丞相には私の心情がわかるのか、頷いてみせた。
しかし放たれた言葉は意外な言葉だった。
「徴言國の新皇帝は、皇太子が即位するとは決まっていない。」
どういう事だ?
皇太子ではない皇子がなるというのか?
「どこの國も変わらぬという事だな。…帝位争いだ。」
帝位…争い…
紅吏帝が崩御したこの時までその争いは決着をつけれずにいたのか
もしくは、崩御したこの時こそ好機と争い始めたのか
どちらにしろ徴言國は新皇帝が決まるまでは、宮歌國もほかの隣接國に攻め入る事はない。

