四面楚歌-悲運の妃-


目の前に座す范丞相を見据え、口を開きかけそれを遮られる。


「勘違いをしてもらっては困る。軍妃を増やす理由は、この先を見越しての増員だ。呂貴妃との決着後の為だ。」

決着後の為…?

それはどういう事だ?

「皇后様の出産まであと半年。それまでに呂貴妃とのこの長きに渡る戦いを終わらせる。その為にはまさに、今いる軍妃や軍女や近衛には、犠牲をはらってでも決着つけてもらわねばならん。」


息を飲むとはまさにこの事だ。

今までは犠牲をなるべく出さず、この決着をつける事が優先であった。

それでも犠牲が出ることは防げず、終わりが見えない戦いだった。

それを范丞相は、終らせると言い切ったのだ。

今までのように、犠牲をださないやり方ではなく。

犠牲を払ってでもと…。

「わからぬか?琴軍妃将軍よ。この戦いは犠牲になくしては、終わらない。長引けば長引く程犠牲は多くなるのだ。故に、早く終らせねばならんのだ!」


っ!!?


范丞相の言った事は、今いる軍妃達にとっては残酷だ。

しかし陛下や皇后様、そしてこれからお生まれになる御子の為に、そしてこれから増える軍妃の為には、そうする事がの最善だ。

わかっているのに、すんなりと受け入れられない。

戸惑う私に、范丞相はさらに追い打ちをかけた。


「それに…陛下や皇后様のお命ばかりではいられなくなった。徴言國(チョウゴンコク)皇帝・紅吏帝(コウリテイ)が崩御した。」


え…?