ただの脅しなんかではない。
私とて命を落としかねない程、刺客は手練れの者ばかりだ。
陛下や崔皇后様を護る事が最優先であり、軍妃までも護りながら戦うなどできない。
命を棄てる覚悟でやらねばならぬ事なのだ。
軍妃達はその現実をまだ知らない。
軍妃であるという事を忘れてしまう程、この1年はただ流れただけの月日だったのだ。
陛下が狙われている事実を知っていても、それは聞いた話であって、どんなに深刻であるかなんて身をもってあじわなければわからない。
戦う事がままならなくとも、命を棄てるだけの盾になら軍妃達にもできるだろう。
崙矣は軍妃なのだから、それぐらいの覚悟はなければならないというが
私は盾になるより戦える矛がほしい。
ただ使い捨てされる盾ばかりでは意味がない。
軍妃達を脅すは、焚き付ける為。
逃げ出す者もいるかもしれない
逃げ出さず残った数人でも、今まで以上に鍛練してくれればいい。
『そろそろ時間だ…もう行かねば。』
空の陽の向きを確認し、そばにいる李燗に声をかける。
李燗が頷くのを確認し、まだざわめく軍妃達の間を通り抜けた。

