陛下は警戒心の強い方だ。
命を狙われ続けられる故の本能。
妃であっても軍妃であっても、簡単に自らの懐に入れない。
しかし私達軍妃の忠誠心とお慕いする心があれば、その懐に入る事が叶うのだ。
まね事の様な鍛練を続けても、陛下に届く事はない。
軍妃達を見渡すが誰一人、私や李燗に言葉を返す者はおらず、顔を歪める者、私と李燗を睨みつける者ばかりだ。
陛下が命を狙われている事を後宮の者すべてが知っているはずだ。
寵愛を得たいと思っていても、護りたいという気持ちは持ち合わせていない。
この状況をわかっていながらも、私は放置してきてしまった。
自分が情けない。
何よりもそのような軍妃しかいない事が悔しく思う。
『寵愛を得る為に警護をするか?
私が推挙すれば警護の任にはつけよう。
そなたらはそれが望みであろう?』
私のその言葉に軍妃達はつぐんでいた口を開きはじめ、睨んでいた目は垂れ下がり、媚びる言葉をなげかけだす。
何人も同時に発っせられ聞き取れない声を、聞き取るつもりもない。
『いいでしょう。
希望の者に警護の任を与える。
…ただ、見初められる前にそなたらは死ぬ。
それでもいい者なら。』
一瞬沸き立った軍妃達の顔が、驚愕の表情に変わる。

