李燗に弓を借り的の前に立つと、視線はさらに多くなる。
先ほどまで射る音が無数にしていた射場は静まりかえった。
これ程までの視線の中で弓を射るというのは、はじめての事だ。
シュパンッ…
私が矢を放つと、軍妃達は中心に刺さる矢を見て歓喜の声をあげる
その光景に顔をしかめた李燗は、私から弓を奪い取り矢を引く。
的に向けられていた矢の先を、急に軍妃達の居る方へとかえた。
「「「っ!!?」」」
李燗…?
突然の事に軍妃達も私も言葉を失う。
「騒ぐだけしか悩がない中途半端な心で射るなら、黄麟ノ宮に戻られたらどうですか?
そんな心では陛下には届きませんしね。
それとも私の為に的になってくれる?」
軍妃達が息を飲むのがわかった。
どの的にも矢が刺さる事なく、落ちる無数の矢。
普段引かない弓をまね事の様に引いたとて、力もたりず的まで辿りつかない。
射ながら話をする光景。
それは先ほどきたばかりの私も目についた。
李燗はその事に腹をたてているのだ。
李燗に近づき、そっと弓を下ろすように促す。
「冥紗?」
『陛下を慕うのであれば、それを活力として鍛練せよ。
さすればその想いは、矢が的に当たるように届く。』

