四面楚歌-悲運の妃-


無言のまま椅子から立ち上がり、軽く会釈をして室を出る崙矣を皮切りに、次々と皆が室を出て行った。


私は椅子から立ち上がれず、ただその光景を眺めた。


「辛い選択をしてこそ、貴女様は軍妃将軍として成長してくのですよ。」



不意に声をかけられ、肩が揺れる。


欺軍妃副将軍…


悲しそうに微笑むのは、自らにも同じ経験があるからだろう。


欺軍妃副将軍は、前任に李春宇様がおられたからこそ、黄宋帝後宮軍を統べれたと言った。


何もその言葉に返しはしなかったが、やはり欺軍妃副将軍も軍妃将軍としての苦悩があったのだろう。


だから気持ちはわかると、私に言ってくれているようで、重かった腰が軽くなった。


小さく頭を縦に振り微笑み返し、椅子から立ち上がった。


「そういえば…」


室を出ようと進めようとしていた足を、呟かれた声に止められた。



「ご存知ですか?
軍師補佐の憧李燗様。
近頃舞妃ノ宮で熱心に武術の鍛練しておいでですよ。」


李燗が?


崔皇后様の護衛を任されてから、李燗とも会っていなく、舞妃ノ宮へも足は遠退いていた。


故に李燗が舞妃ノ宮にて鍛練しているなど、知らなかった。


軍師補佐の李燗がなぜ?