四面楚歌-悲運の妃-




崙矣の言葉が胸に響いた。

聖人として告げられぬ事もあることを察してくれ
、私を仲間であると言ってくれた事だけではない


驚き戸惑う悒雉達に、私の気持ちを察しろと促す言葉だった。


聖人である前に、冥紗は冥紗であるのだと…



「ふ…情けないな。
私は昨夜その場におり、状況を理解し冥紗に知りたいと言ったのに…。
いざ本人の口から聞くと体が強張った。
聖人としらぬ時から冥紗自身に惹かれ、共に歩いていたのに…。
そうだ…仲間である事は変わらない。」


晏惟は眉を下げながら自嘲気味に言うと、最後は私に笑顔を向けた。


昨夜泣き崩れた私に手を差し延べてくれた晏惟。


知っているよ。


私だけがこれを告げる事に勇気を要したわけじゃない。


昨夜刺客から告げられた真実と、私の狂乱を目にした晏惟と梛犀は


より真実を知りたくもあり

知りたくもなかっただろう

変わってしまうのではないか?


私が不安に思ったように、二人もそう思い悩んだ。



「冥紗以外の皆も同様、話していない事は沢山あるんだよね…。
それは今話す事ではないとか、知る必要のない事だったり。
私は…冥紗が冥紗でいてくれるなら、嬉しいよ。」


聖人だとかそんなものではなく、私が私である限りは変わらない。


そういう意味を含めた言葉を、悒雉は言ってくれた。