四面楚歌-悲運の妃-




数段の階段を降り、小さな石が転がる地を踏み締め、四天王達の所へ向かう。


あと数歩で四天王達であるという所で、私は足を止めた。


「冥紗?」


立ち尽くす私に、悒雉が名を呼んだ。


その声に応える事なく、四天王の顔を一人一人見た後、再度歩を進める。


最後の一歩と同時に、仮面に手を伸し、音もなく外れるそれに


四天王達は目を見開いた。


誰も声を発する事がなかった。


話の内容を予想ついていたであろう晏惟と梛犀もが、口を閉じていた。


ただ四人は私を驚き見ていた。


『包み隠さず、真実の私を話そう。
晏惟、梛犀、昨夜刺客により知らされたであろうが、私の口から再度告げさせてくれぬか?
悒雉、崙矣、聞いてもらえるだろうか?』


口を開く前に仮面を外したのは、仮面ごしではない私で告げたかった故。


いざ外し、最初にどう切り出せばよいのかわからなかった。


やっと口に出した言葉は少し震えた。



戸惑いながらも四人はお互いに顔を見合わせ、頷き返す。


私は微笑みを四人に向け、ゆっくりと言葉を発した。

『七神・生姫、それが私の与えられしもう一つの名。』