私の勝手な行動を咎める事もなく、陛下は「頼む」と一言申された。
再度深く頭を下げ、室の出口へと急ぐ。
室を出る間際に、壁内侍が何か言っていたが、私の耳には届かなかった。
黄麟殿から皇后宮まではさほど遠くはない。
夜着のまま出てきたせいか、走るたび纏わり付く裾が煩わしい。
近づくたびに戦いの音や呻き声が聞こえてくる。
『っ!?』
黄麟殿から皇后宮に入ってすぐに、思わず息を飲んだ。
血まみれになり、まるで石の様に地に転がる宦官…そして刺客
目に映る光景はいつか見た、戦の時のようだった。
晏惟と梛犀は!?
崔皇后様はご無事か!?
皇后宮の入口に行くと、数人の刺客を相手にする二人が見えた。
『晏惟!梛犀!』
「「冥紗!?」」
宦官の姿はもうなく、戦う二人も腕や足を血に染めていた。
直ぐさま生聖を鞘から抜きとり、二人に襲いかかる刺客に振り落とす。
「ぐわぁっ…ああ…」
刺客が呻き声をあげてその場に崩れ落ちるが、他の刺客がすぐに剣を振りかざしてくる。
いったい何人いるのだ!?
こちら側はもう私と晏惟と梛犀しかいない。
地に転がる刺客の数は宦官よりも多いのに、次々と私達の目の前に現れる。

