四面楚歌-悲運の妃-



近衛軍は禁軍とも呼ばれる、陛下直属の軍。


黄麟城の警備も近衛軍の役目。


近衛軍もいくつかの軍に分かれており、私も詳しくは知らない。


ただ目の前にいる趙陳榔という人物だけは知っている。


彼は近衛軍の全軍の最高指揮官だ。


「お話しするのは初めてでございますね、琴軍妃将軍様。
いや、今は琴昭儀様とお呼びするべきか…。」



そう、顔と名前を知っていても話しをする事など今までなかった。


後宮である舞妃ノ宮・黄麟ノ宮・皇后宮は、私達軍妃と宦官達が警備している。


陛下が妃との閨には軍妃と宦官が警護をする決まりがあり、その場合陛下直属である近衛軍は警護をしない。


それ以外は近衛軍が警護にあたっているが、私達軍妃といえど近衛達との関わり合いはない。


軍妃といえど私達は妃だ。

後宮に入れる去勢を施している宦官と、陛下以外の異性との関わりは禁じられている。


范丞相は例外ではあるが…


「なぜ趙陳榔をそなたに会わせたかわかるか?」



まさか…私達の荷を軽くするというのは



『後宮軍と近衛軍と力を合わせる…という事でございますか?』


恐る恐る口に出した言葉に、陛下は口の端をあげた。