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一先ずの難を逃れ、そろぞれの宮へと帰る事となった。


傷の手当てをと再び言われたが、崔皇后様の護衛を優先に考え、皇后宮にての手当てを申し出た。


陛下は護衛を優先する事に顔を歪めたが、最後は了承してくださった。


悒雉と崙矣とも別れ、崔皇后様を伴い皇后宮へ向かう。



「傷は傷みませぬか?」


道すがら崔皇后様は、私の顔色を伺う様に顔を覗き込み申された。


首を横に振り、痛くないと答えるが、皇后宮に着くまでに何度も私に問われる。


傷よりも、気を使わさせてしまっている事に心が痛い。


私は陛下や皇后様の盾に過ぎないと周りは思っていると、壁内侍は言った。


崔皇后様がそう思ってくだされば、どんなに楽だろう。



けれどそんな方ではないからこそ、私は盾になる事が光栄に思える。



『私よりも崔皇后様の顔色の方が悪うございます。
私がしっかり護衛致しますので、ご安心してお休みください。』



皇后宮に着き、御典医が着くのを待っている間、落ち着かない様子の皇后様を寝所に促す。