四面楚歌-悲運の妃-



風を切る音がより一層大きく耳に届いた。


ドシュッという音と共に、風を切る音が無くなる。


生聖を抜いてる暇などなかった


五行の印を組んでいる暇などなかった


ああ…なぜ、私事ばかり考えて呆然としてしまっていたんだろうか

私は軍妃将軍失格だ…


でも間に合って良かった…。



肩にじんわりと痛みが増してくる。


「冥紗ッ!!」



地面に崩れ落ちる私の身体を、陛下が抱き抱える。


そのすぐ隣で、崔皇后様が顔を真っ青にして立っている。



良かった…お二人共ご無事だ。



「冥紗ッ冥紗!!」



悲しく歪めた顔で、必死に私の名を呼ぶ陛下。



私はやはり、軍妃将軍失格だ。


陛下にその様な顔をさせてしまった…。


鞘から生聖も抜けず、五行の力も使えず、この身でしか護れなかった。


ッ!?


陛下が私を抱えてくださっている腕を取り、私の後へと陛下を押しやる。


素早くたちあがり、生聖を抜きとった。


カンカンカン


鈍い音をだして弾き飛ばされる矢。

まだ安心は出来ない。


痛みなど感じている暇などない。

敵はなおも矢を放ってくる。


『私は大事ございません!
それよりも、陛下と崔皇后様は私の後から動かないでください!』


再び、風を切る音がする。


さっきよりもはるかに大きい。