四面楚歌-悲運の妃-



麒麟の背に俚督とまたがり、飛びたとうとする偉罨様に、訴える様な眼差しを送った。


偉罨様…偉罨様…!!


口には出せないその名を、心の中で必死に呼ぶ。


あ…


陛下達に別れの言葉を告げ終えた偉罨様の目が、ゆっくりと私をとらえる。


何も言わず、私の手に握られる聖弓の袋に視線を落とした。



再び私に視線を合わせると、悲しく微笑み頷く。



何を知っておいでですか?


私に何を伝え様となさっているのですか?



私の問いなど届く事はなく、偉罨様と俚督を乗せた麒麟は、空高く舞い上がった。


皆は美しい炎の属性獣に、瞳を囚われ、その光景を見つめる。



私の目は今、不安と戸惑いに溢れているに違いない。



私は悪い方へと考える過ぎているだろうか?


たかが聖弓を渡されただけだ。


これは元々私が村に置いてきた私の聖弓で、私の元に返しただけかもしれない。


聖弓は属性の力だけではなく、五行の力をも纏う事ができる。


仮面を外さなければならない様な時がこずとも、刺客と戦う上でも力強い品だ。


少しでも私の力となる様にと、私の元へお持ちしてくださった…


それだけかもしれない。


偉罨様達が見えなくなり、落ち着かぬ心を静めようと、息を深く吐いた。