四面楚歌-悲運の妃-




いずれ役にたつ時がくる…?


この袋の中身は…まさか…



偉罨様を追いかけ、問いただしたい衝動にかられるが、出しそうになった足に力を入れて止めた。


私を見る事はなく、背を向ける偉罨様を、渡された袋の紐を握りしめ見つめた。



合掌をすると、偉罨様の周りを炎が蠢く。


手を翳し創り出される、炎の麒麟。


視線を離さないまま、握りしめていた紐を手繰りよせ、袋の中身の感触を確かめる。



やはり…


袋の中身は弓矢。


普通の弓矢ではない。


これは聖弓だ。
矢は天矢という。

聖人の力にも押し潰される事ない様に作られた弓矢。


聖人の中でも二神・風姫が主に使うこの弓矢は、天矢にその力を纏わせて使われる。


普通の弓矢では、力に潰されしまい弦さえ引けない。


故に特別に作られた物だ。



私達の代では「風」「雷」の属性の者がこの聖弓を主に使っていた。


「生」だけではなく「風」の属性をも持つ私は、この聖弓は戦になれば、強い戦力となる物。


…ッ…偉罨様…


力を込め止めていた足が、思わず一歩前の地につき、もう一度その足に力をいれた。