四面楚歌-悲運の妃-



偉罨様達は陛下の言葉に再度頭を下げた。


聖人は華やかな宴とは縁がなく、こういう席は苦手だ。


もちろんそれは偉罨様もで、帰る時をはかっていたのかもしれない。


もてなされる側が帰る事により、宴は終りとなり、皆で偉罨様達を見送る事となった。


一足先に無言で頭を下げた崙宝が、足元から影を生み出し闇に消えていく。



慌てて申し訳ないと陛下に謝る偉罨様を不憫に思ったが、崙宝が愛想良く帰る事などない。

それは偉罨様も分かっていただろう。


偉罨様は江丞相や范丞相と向かい合い何か言葉を交わし始めたが、少し遠目にいる私にはその内容は聞こえない。


偉罨様は隣にいる俚督に何を言い、大きな袋を受けとると、私に視線を向け歩き出した。



??


目の前に立つ偉罨様に何も言えず立ち尽くす。


偉罨様は柔らかく微笑むと、私の両腕を取り言った。



「これを貴女に…。」



偉罨様に包まれる手に視線をやると、先程俚督から受け取った袋の紐が握らされていた。


これは…?


問いかける様に視線を偉罨様に戻すと、再び口を開いた。



「いずれ使う時がくるでしょう。
その時のお役に立てるはずです。」


最後にまた微笑むと、踵を返して俚督の元へと戻ってしまった。