四面楚歌-悲運の妃-



数いる刺客の中では、私達と同じく五行の力を使う者達もいる。


その中でも梁一族は剣術のみで、名を知らせた刺客。



書物に記載されていた梁一族の事を思い出しながら、崙矣にもう一度視線をやる。


崙矣は偉罨様から視線を外すし、手に持たれたままだったお茶を呆然と眺めていた。


崙矣?



「過去の栄光程、今の梁家は…」


小さな声で呟かれた言葉は、最後まで言われる事はなかった。



しかし何を言おうとしたのか、何となくわかる。



代々受け継がれて来た剣術は無くならなくとも、刺客という名を捨てた事で、力は衰えていっているのだろう。



刺客だった頃は山に棲み家をおき、修行をし力を高めた。


刺客という名を捨て、宮歌国に忠誠を誓った事で、棲み家は都になり、邸宅を構える。


そうして昔の様な修行をしなくなる…。



けれど、元刺客としての誇りを捨てた訳ではない。


崙矣は悔しいのだろう。



弱体して行く梁一族の今を…。



「私の代で…かならず…。」



そう言うと、私を見て笑顔を見せた。