そのため黄麟殿から室に帰るのに、賢妃の室前を一番始めに通り、姜賢妃に出会った。
姜賢妃は私を待っていたかの様に、室前にただずんでいた。
私を視界に留めると、私に向かって歩き出してきた。
その間になぜか、姜賢妃の女官達は室に戻ってしまう。
『姜賢妃様、お早うございます。』
そう言って廊下の脇に寄ると、体ごと私に向けて口を開いた。
「そなたも私を嘲笑うか?」
え?
冷たく放たれる言葉と視線。
そして悲しむと悔しみに歪まされた顔。
「体の弱い皇后よりも、私が懐妊すると言われ来た。
しかし、実際先に懐妊したのは皇后。
そして寵妃の座は仮面の醜き軍妃に奪われてしまいそうだと…。
さき程から後宮中にそんな話ばかり…ッ」
言葉に詰まり私を睨み、強い力で両腕を掴む。
…ッ!?
両腕に痛みを感じながらも、姜賢妃を見上げる。
「陛下の世継ぎを生むはこの私…ッ。
そなたにもッ、寵妃を奪われてたまるものか…。」
そう言い放つ姜賢妃の顔は身震いがする程だった。
掴まれる腕はよりいっそう強くなり、絹ごしに爪が食い込む。

