四面楚歌-悲運の妃-





室に戻ると、気が抜けた様に口から息が漏れた。


私を心配する様にお茶を差し出す威仔にお礼を言って、お茶を口にする。


室に戻る道すがらの妃達、前と変わらぬ反応だった。


あちこちで私に吐かれる言葉が頭を巡る。



「なぜあの様な仮面の軍妃などと…」
「あんな醜い者よりわたくしの方がよっぽど美しいのに…。
陛下はお目の病気にかかられたのかしら?」
「まぁあの衣裳。
陛下もなぜあんな仮面の者に、あの様な美しい衣裳を贈られるのかしら?
美しい衣裳に剣など挿して不粋な…」



私に対してならなんと言われてもかまわない。


ただ陛下の事を言われるのだけは辛かった。


許せないと想っても、私がここで妃達に楯突く訳にはいかない。


それこそ争いの火種を生んでしまう…。



「あまりお気になさらない方が、よろしいですわ。」


威仔の言葉に笑顔を作り頷く。


それにしても…姜賢妃の様子が気になる。


四夫人である、貴妃・淑妃・徳妃・賢妃のうち

現在陛下の四夫人は姜賢妃しかいない。


それ故、黄麟ノ宮から一番近い場所に住まうのは姜賢妃だ。