「まだわからぬか…。
そなたはただの軍妃ではない。
私がもっとも寵愛をする、妃だ。」
そう言い、さらに下降する陛下の顔。
長い髪の毛が、露になる胸元をくすぐり始める。
『…ッ』
鎖骨の中央の朱い華の印に口付けをされ、体が揺れる。
「この刻まれた華も、その仮面も、そなたはわからぬ事ばかりだ。
しかし、不思議な物だ。
そなたを前にすれば、聞かなくとも良いと思える。
なぜそう思うのか…求めてしまうのか、わからない…。
いつか…すべてを私に見せてくれ…」
触れられるたびに熱を増し、反応する体。
何も考えれなくなってしまう程、陶酔してしまう。
陛下にそんな苦しそうな顔をさせているのは、私のせいなのですね…
すべてを知ってしまったら陛下はどう想われるだろう?
本当の私を見ても、同じ様に求めてくださるだろうか?
責務から逃げた聖人として、私を罰する?
…それでも構わない。
私はいつか陛下の為に死ぬのだから
どうせなら陛下の手で、逝きたい。
ああ…
私はいつから、こんなに欲する様になったのだろう?
私は愚かな女だ。
嫉妬をせぬといい聞かせ
私は軍妃であるといい聞かせ
聖人であるからといい聞かせ
この国の為にと思いながら
陛下の傍にいるのは
護る為だけではない。
陛下を求める己の欲。
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