思った以上に早いお越しだ。
皇后様の元へ行かれる陛下の足音が、この室前を通り過ぎる。
その後にまた別の足音がこちらへ向かってくる。
「汪軍妃官殿のお越しにございます。」
悒雉が「え?」と声を出して私を見る。
『私がお呼びしたのだ。
私どもだけではなく、汪軍妃官軍の力もお借りせねばと…。』
悒雉が納得した様に、頭を上下すると同時に、汪軍妃官が室に入ってきた。
「琴軍妃将軍様からお呼びだてとは、めずらしき事でございますな。
それにしても何故に皇后宮に?」
汪軍妃官殿は頭を軽く下げると、早々に疑問をなげかけた。
何も知らぬ汪軍妃官殿としては、私に皇后宮に呼ばれた事に戸惑いがあるのだろう。
皇后様からのお頼み事なれば、壁内侍を通す。
しかし、このたびは私の単独の考えだ。
呂貴妃の送る刺客は、前より手強い刺客だろう。
いつ刺客が送られるかわからない。
それ故崔皇后を四六時中護衛しなければならない。
送られる刺客の数がわからない以上、四天王1人ずつ交代にする訳にはいかない。

