「ここが黄妃門だ。
ここからは、あそこにいる宦官が案内をしてくれる。」


黄妃門に着き、馬車から降りると高い石壁と重そうな扉で塞がっている門楼があった。


4年前見た時より、少し頑丈になっている。


「立派な軍妃になる事を祈っている。」



楚殿の言葉に、李燗と2人で会釈をし、門前に向かった。



「宦官の陳である。
これより、後宮へとお連れする。
はぐれぬ様ついてこられる様に。開門!」


近寄ると陳という宦官は、私の仮面に一瞬顔を歪ませ、門をくぐった。


目の前に広がるのは後宮・黄麟ノ宮(キリンノミヤ)。


しかし向かうのは、入って左奥の黄麟ノ宮より少し小さい宮だった。


「わぁ〜。ここが後宮すごい!」


李燗は都を見た時の様に、嬉しそうに言った。


「…?冥紗は何にも言わないけれど、何も思わないの?」


そう言う李燗に私は苦笑いをして、聞こえないくらいの小さな声で言った。


『(初めてではないから…)』

「えっ?」


『いや、なんでもない。』


そう言ってまた苦笑いを返した。



「ここは後宮の1つ、舞妃ノ宮(マイヒノミヤ)だ。
官職を得て軍妃になるまで、ここで寝泊まりをし、武術をきわめ、後宮についてを学ぶ。」