四面楚歌-悲運の妃-




何も答えない私の肩を、李燗の右手が掴む。


「私はそんなに信用出来ない?」


え?


李燗が掴んだ肩から、自分とは違う震えの振動が伝わる。


李燗も震えている?


「冥紗が私達とどこか違う事…
異常なまでの強さ
五行の力
年齢とそぐわない身体と心…
気にしない様にしてた!
聞かない様にしてた!」


俯き全身を震わせて言う。

涙が落ち、床に染みを作る。


李燗…



「冥紗が何を抱え隠しているのかわからない。
けど、私は敵じゃない。
冥紗の味方なの!
仲間なの!
教えてよ…〔本当の冥紗〕を…。」


最後は振り絞る様なか細い声で言い、泣き崩れた。


李燗…


私…私…


敵だなんて思っていない。

仲間だと思っている。


けれど、


〔本当の私〕を証してしまう事は…


李燗の手から離れた仮面に、再び手を差し伸べる。


それに気付いた李燗は、再び仮面を取る。


「冥紗…。」


弱々しく発せられた声とは裏腹に、強い眼差しが私に向けられる。



たとえ仮面を私が拾い、再びつけようが


起こってしまった事を


なかった事に出来ない。



私はゆっくりと、伸ばした手をひく。