四面楚歌-悲運の妃-




それも本当の話だが、1番は聖人の掟と、聖人である事がバレない為だ。


李燗からしてみれば、官職を無事に賜れたのに、なぜと思っていただろう。



『この仮面は簡単に取る事が出来きません。
不思議な事に取る時がくれば、取れる様になっているのです。』



私の答えに2人は首を傾げ、何と返していいか分からず沈黙する。



仕方ない。


こうとしか、言い様がないのだ…。


私が目を伏せると、目の前にいた狄洙様が、私に一歩近づく。


「あの…仮面に触れても良いですか?」


頭を上げ頷くと、細い指が伸ばされる。


その手は小刻みに震えている。


取れる時がこなければ取れないという、意味のわからない物に触れるのだ。


震えて当たり前だ。


震える掌がそっと仮面の右上に触れる。



ビリッ



え…!?



狄洙様の手が瞬時に離される。


今…一瞬、稲妻が走る様な感覚が…



「ッ…!?え…?」



狄洙様から漏れる声と同時に、緩やかな風が私の周りに渦巻く。


な、何が起こったのだ!?


狄洙様が仮面に触れただけなのに…