手に向けられる視線で、范丞相は、私と呂貴妃様の間にあった事を知っているのをものがっている。
范丞相は先帝からの丞相だ。
呂貴妃様の性格も知っている。
怒りの仰ぎ方も分かっていて、私に迎親の任を言い渡したのか…
これから敵として争って行く事になる者を、私に見て感じさせる為に。
范夷扶…さすがは先帝の頃よりの丞相だ。
長く宮廷内で権力を保ってきただけある。
私が悟った事に気付くと、范丞相はまたにやりと笑い頷いた。
「まて。そちたち2人で見合っていてもわからぬ。
どういう事だ?
私には理解が出来ん。」
陛下が痺れを切らした様に立ち上がり、私と范丞相に言う。
陛下には、伝わっていないのか…。
范丞相は陛下に向き合うと、事の説明をする。
迎親の事、櫂家の事、呂貴妃様のお怒りの事。
范丞相がすべて言い終わると、眉を下げ悲しい顔で私に近寄る。
私が立ち上がると壊れ物を扱う様にそっと、私の手を包み込む様に握る。
「痛くはないか?
そなたは軍妃将軍といえど、女だ。
傷を作らせてしまったとは、心が痛む。」
悲しいそうに私の手を見つめ、優しく手を撫でた。

