四面楚歌-悲運の妃-




呂貴妃様が本性を剥き出しにし、恢長公子様と言い争う。

室から離れる私の耳には、その声は遠くなり聞こえなくなった。



なんという因果だろう…



私が守るべく陛下を狙う呂貴妃様の御子である、恢長公子様に


私の実の姉が嫁ぐなんて…


そして


私の生家を、呂貴妃様の口から知らされるとは



いや…誰も私が七神である事を知らぬのだ。


私がここまで打撃を受けている理由が

自分の生家を知ったからと思わないだろう。



これも運命なのだ…


私は生まれてすぐに聖人の村へ引き取られ、家族の事は何一つ知らなかった。


村にいれば、一生父上や母上に会うことも、姉上がいる事さえ知らず生きただろう。



天は村から逃げた私に罰を与えているのだ。



私がこれから立ち向かなければならぬ敵に、姉上が嫁ぎ


生家をも敵にしなければならぬという罰…。



今考えれば、呂貴妃様が私にあの様にした事は良かったではないか。


わずかな時だけで、本性を垣間見る事が出来たのだから。