「琴昭儀様。警護の後だというのに、朝早くから申し訳ございません。」


丁寧に私に頭を下げる。


突然の范丞相の訪問に、驚きながらも、椅子に腰かける様に促す。


范丞相が椅子に座った



「急にな話なのですが、軍妃将軍として頼みがあるのです。
今日、とある方が恢長公子様の妃として嫁がれます。
その方が無事、恢長公子の元にご到着できる様、道中を護衛して頂きたいのです。」



え?


私が!?


「汪軍妃官軍にお頼みしていたのですが、昨日新馬の調教中に怪我をしてしまいまして…。
急遽、琴軍妃将軍様にお願いに参ったのです。」


急な話とはいえ、范丞相の申し出を断るわけにはいかない。


恢長公子の妃の護衛…。

陛下の1つ下の恢長公子に、まだ妃がいない事は知っていたけど


その護衛をまさか私がする事になろうとは…


呂貴妃様の御子である恢長公子様とは、まだお会いした事がない。


どんな方なのか、知りたいと思っていた。


お会いになれる絶好の機会だ。


范丞相の申し出はむしろ、ありがたい話だ。