「琴軍妃将軍。今はそれで良いのです。
幸い、私には野心などございません。
呂貴妃の怒りに触れる事はないでしょう。
妹も呂家に嫁ぎ幸せです。
そなたは軍妃といえど、陛下の妃なのです。
陛下の御身だけをお考えください。
陛下に何もなく、この宮歌国を太平にする…それが私にとっても、幸せな事などですよ。」



呉淑妃様…


私に近より、手をギュッと握ると優しく微笑んだ。



そうだ…


私はここに来て、力のなさに嘆いてばかりだ。


それでは陛下をお守り出来ない。


陛下が太平にと望む手助けも出来ない。



私には私に出来る事をしっかりせねばならない。



『呉淑妃様…ありがとうございます。』



私が微笑むと、呉淑妃様ももう一度微笑んだ。


その微笑みは、つき物が取れたかの様だった。



「皆で、陛下を支えて行きましょう。太平の世の為に…。」


崔皇后様も、私の手に手を重ねる。


重なり合う3人の手を見つめ、呉淑妃様と崔皇后様を交互に見る。


『私の命に代えても、必ず…!』



陛下の望む


太平の世の為に…