「こおり……あられ?」

見たままの漢字を読んでみる。


「あられって読めるんだ。すごいね」

「バカにしてんの?」

「してないよ。俺だったら読めないなって」

俚斗は地面に書いた文字を指でなぞってそれを消す。意図的なのか偶然なのか〝氷〟という文字だけが残って、俚斗が息をはくように説明してくれた。


「俺の身体は氷みたいに冷たいんだ。冷たすぎて普通の人に触ると火傷させちゃうんだよね。ほら、ドライアイスに触ると同じような症状になるでしょ?あんな感じ」

「………」

「信じてない?」

頭で考える前に自然と首を横に振ってた。


「ビックリしないの?」

「これでもしてるよ。一応ね」

「はは、そうなの。全然見えない」

俚斗が安心したようにやっと笑った。

しゃがみこんでいる私たちの頭上には相変わらず雪が降り続けていて、寒いはずなのにその感覚さえ忘れてしまっていた。


「だから俺は人に触れることもできないし、触れられることもできない。さっき小枝のことを避けちゃったのはそういう理由」