「ちょっ、颯いきなり何いってんの?


海もさぁ、落ち着けよ‼」


二人の間に入る雷が、まあまあ、と宥める。



「俺は、別にいいよ。


彼女に手を出す総長の下には、つきたくないから」



海の目は、真剣で何も言えない。



「じゃあ、ーー出てけよ。二度と帰ってくんな」


一歩もひけない二人の狭間は、次第に離れてく。



海は何も言わず荷物を肩に掛け、眠る白雪の体を軽々と持ち上げると、部屋を出ていく。



最後に見た海の瞳は、ひどく傷ついた顔で。




それに、気づかない不利をする自分は冷たい奴だ、と思った。