俺達はこの時知らなかった。


好きになったお姫様が、もう"誰かのモノ"になっていること。


この、少しだけ離れた瞬間ーー



「なあ、あれ。姫と、海じゃない?」



仲良く手を繋ぎあるく二人に、近寄ったのは総長・颯だった。


「海ーーーーーお前らもしかして」



颯はチラリと、二人の手元を見る。



「ああ、付き合ってるから俺達。ごめん、颯。



みんなも。


白雪は、俺のだから手を出すなよ」



それは………鋭い刃物みたいな瞳を放つ海。