「今日、撮影なの……」



放課後。
急にそう話しかけてきた千愛希ちゃん。

もう、モデルのことを隠すことは諦めたらしい。



「そうなんだ!あ、雄耶ってわかるー?俺仲いいんだ」


「あ、うん。いい人だよね」



あれ。
なんか、胸がチクリとする。

やっぱり俺、なんか病気かも。



「ねぇ、上田くん」


「ん?」


「上田くんって、スタジオの隣がいえなんでしょ?」


「うん。そうだよ」



広い空き地があるところをみつけて、スタジオと家を作った親父。
きっと寝坊しても大丈夫なようにだ。
ギリギリに起きたって間に合うもんな。



「よかったら一緒に帰らない?」



少し頬を赤らめながら、そんな事を口にする。



「……え?」


「あ、ごめん。嫌だよね」



慌ててカバンに授業道具をしまい込む。

急いで帰ろうとしてるんだろう。


「ま、待って!」



俺も慌てて、千愛希ちゃんの腕を掴む。



「嫌とかないから。びっくりしただけだから」