「聞いてくださいよ〜！」

「どうしたの？」

「もう本当、涼音さんが隣の部屋は苦痛で！毎日私の部屋にやって来てはチクチク小言を言って、紅蓮お兄ちゃんに自分こそ妃に相応しいとさり気なく伝えるように言ってくるんです！」

「……うわ〜、姫蓮ちゃんも苦労するね」

「夜は遅くまで起きているらしく物音がうるさくて眠れないし。朝は早くから起きていて朝から歌っている声で起こされるし……！

いくら完璧に物事をこなせても、肝心な性格があれでは紅蓮お兄ちゃんの妃なんて、とても務まりません！」

「確かに、それはちょっと、いやかなり非常識だね。……でも涼音さん、本当に紅蓮のことが好きなんだと思うよ」

毎日、ご飯の時間は紅蓮の隣をキープしてるし、可愛く髪の毛を編み込んだり、アップにしたり。

可愛くいる努力を怠らない。


ご飯を食べ終えた紅蓮を追いかけて広間を出ていく後ろ姿は、恋する女の子以外の何者でもないし、



それを見ながらいつも少しだけ羨ましく思う。