「え、会議室です。わざわざ場所を変えるだなんて、辻さんがおっしゃるから……てっきり、誰にも聞かれたくないお話だと思って……」



ああ、水野さんは流石だ。



「会議室の方が、確かに良いです」



あまり聞かれたくないというのは、ごもっともだ。

そりゃ「なんで、俺のこと避けるんですか!」なんて恥ずかしくて、人前では聞けない。

それこそ人前で俺は、ストーカー野郎なのか、勘違い野郎なのか、自意識過剰で痛い奴になる。

いや、今の時点で、俺は勘違い野郎なのかもしれない。

今、俺の前を歩く、水野さんの背中を見ると、急に後悔が襲ってきた。

「そんな仕様も無いことで」だとか、「くだらない」だとか、水野さんに言われてしまうのではないだろうか。

移動している間、ネガティブな思考が止まらなかった。