紅緒が冷えた声で呼べば、黎は表情をひきしめる。 「差し出がましいようですが、俺は桜城とは縁を切った身です。今は、ただの小埜黎です」 「さようでしょうが、お前の出自が桜城にあることに変わりはありません」 「………」 「………」 睨みつける紅緒と、それを受ける黎。 その緊張した空気の中へ、真紅が駆けてくる足音がした。 「れ、黎~」 「真紅? どうした」 黎の視線が向かって来て、真紅は内心うめいた。 料理上手の母の手を借りたとはいえ、自分のスキルのなさには、自分で呆れるくらいだというのに。