「………ほんとう?」


「本当。俺は天命とか寿命とかは全然わからないけど、真紅が哀しいのは嫌だから」
 

見せる柔らかい笑顔に、真紅は心底今に感謝した。
 

自分の血が、変わり者でよかった。


せめてこの人と一緒にいられる時間を、少しでもくれてありがとう。


これから先は、二人が決めて行く。


「ありがとう」
 

真紅は、そっと繋いでいる方の黎の腕にもう片方の腕で抱き付いた。


「――黎?」
 

後ろからかかった声に、その名前と持つ黎と、反射的に真紅も振り返った。
 

そこには、驚いた顔の見知らぬ女性がいた。