「そうか……無理はするなよ?」


「うん。ありがと」
 

庭先で二人がほのぼのとしていると、縁側から母の紅亜が姿を見せた。


「あら、黎くんおはよう。今日も来てくれたのね」
 

真紅が黎と付き合うことに肯定的な母は、笑顔で迎えてくれた。
 

母は、妹と一緒に住むようになってから、家では着物を着るようになった。


小さな個人病院の看護師の仕事は、そのまま続けている。母は、今日はお休みの日だ。


「おはようございます、紅亜様」
 

黎が返すと、紅亜は困ったような顔になる。


「黎くん……真紅ちゃんの彼氏にそう呼ばれるのはなんかこそばゆいのだけど……」
 

紅亜が居心地悪そうに言うと、黎は顔色が悪くなった。