「………」


「始祖たちは何度も転生を繰り返しているから、その記憶が、今の私まで継がれているんだろう、って。

だから、陰陽道の術式を、私は勉強したことはないのに『知って』いる。扱いはまだうまく出来てないけど、どういう組み立てで使えばいいのかは知ってる」


「………」
 

黎は難しい顔をしたまま言った。


「……まさかの話だけど、過去の転生に、真紅の意識が邪魔されたりはしないのか?」


「それはないと思う。紅緒様は断言は出来ないって言ってたけど、私にあるのは『記憶』だけで、転生たちの『意思』や『意識』ではないの。

私の身体にあるのは、『真紅(わたし)』の意識だけ。だから、えーと……身体を乗っ取られる? とかいうことはないよ」
 

心配げな黎に、真紅は安心させるように言う。


紅緒も黒藤も、始祖の転生に逢うこと自体初めてだから言いきれないことが多いようだが、当事者である真紅はそうだと『わかって』いる。