好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】



泰山府君祭――陰陽師・安倍晴明が得意とした技と伝えられている、死者の魂を呼び戻す秘術だ。


「影小路の始祖たちが? でもお嬢さん、それは禁術とかではないですよね?」
 

澪に、真紅は肯く。


「ご当主様は女性でした。不慮の事故により伴侶を亡くされたんです。そのときのご当主様の落ち込みようと言ったら言葉もないくらいで……生き返らせるために、泰山府君祭を執り行いました。

成功、しました。……そして、甦らせた旦那様と、ご当主様の間に男の子が生まれたんです。

その方から、今の影小路まで、一度は直系を絶たれながらも、間違いなくその血が継がれています」
 

真紅はそこで言葉を区切った。


一つ、息を吐く。


「それは、隠さなくちゃならないことなんですか? 秘術が成功して影小路も繋がっているのなら問題ないじゃないですか」


「問題、大ありだ」
 

澪の言葉を、黒藤が否定した。え? と、澪は黒藤を振り返る。


黒藤は冷えた声音で続ける。


「つまり、影小路に流れる血の半分は死者のもの、ということか」