「霊獣? でも紅緒、わたしにも見えてるわよ?」
母が不思議そうな顔で、真紅の腕の中の小さな黎――紅姫を見ている。
紅亜は見鬼ではない。妖異怪異の類を見る力はない。
「紅ちゃんは見鬼じゃない人にも見えるように出来るんだって!」
「べに? そういう名前なのですか?」
そう紅緒に問われて、真紅ははっとした。
「それが……さっきまで夢、見てまして、その中で私、『紅姫』って呼んだんです。起きたら枕元にいて、自分から『紅』って名乗って……」
真紅が紅姫と呼んだのは夢の中だ。
でも、目覚めたときにいた三毛猫は、自分を『紅』と呼んだ。
「……夢の中、ですか……」
紅緒が意味深な音で呟いた。



