真紅は十六の誕生日の前日に覚醒した、紅緒によって封じられていた始祖の転生としての力を、陰陽道に倣(なら)いコントロール出来るようになるため、小路流が先代当主の紅緒を師事している。


「それは大丈夫。なんていうか……使っていた記憶があるから」


「使っていた記憶?」
 

黎は不思議そうな顔をする。真紅は「うん」と続けた。


「うまく言えないんだけど、私の中に、私の知らない記憶がたくさんあるの。私が経験したことではない、でも、知っている記憶」


「それって……」


「紅緒様と黒ちゃんに話したら、それは過去の転生たちの記憶だろうって言われた」